地域の特性を活かす

いもと建築では、創業以来、飛騨地域を中心に建築事業を行っております。
建築をする上で大切なことは、建物がその土地に適しているかどうかということです。お客様の理想を、その土地に適したかたちで建てることが大切だと考えています。
それは住宅も神社仏閣も同じです。雪の多い地域、風の強い地域、地震の多い地域、暑い地域、寒い地域……世界には様々な環境があります。永い年月を経て、建物はそれぞれの土地に順応する姿となりました。
現在の建築基準法や、机上の計算、一般の通則だけでは計ることの出来ない、地域ごとの「特性」があります。
その土地に適していない建物では、末永く丈夫に建ち続けることは困難ですし、日々の生活に不便を感じたり、建物自体に不具合を起こします。
建物は、画一的ではいけません。
地域の特性を考え、起こり得る注意点に目を向けなければなりません。勿論、地域の魅力を最大限に引き出すことも大切です。

例として、飛騨のような雪国では……

積雪を活かす

豪雪地帯では、積雪への配慮が欠かせません。
雪の荷重は、雪質によって異なりますが、新雪で1㎥当たり50㎏~150㎏、圧縮されたしまり雪の場合は250㎏~400㎏近いといわれています。農村部の大きな家屋では、1mの積雪の場合、30t近い荷重がかかるという計算になります。
その場合、金物でガチガチに緊結すれば良いかというと、それは少し違います。かえって、雪の重みを上手く活かすことを考えなければなりません。
木は生きていますので、建物が完成し、お客様の生活がスタートしてからも、少しずつ形を変えます。乾燥にともなって、柱と梁の接合部には隙間が生じます。それを積雪の重みで締め直すのです。金物は重要ですが、必要以上の使用は、本来の木の性質を制限してしまいます。気候に逆らうのではなく、受け入れて活用することが大切なのです。

積雪を活かす
凍結への対策
凍結への対策

飛騨地方は、日本有数の寒冷地でもあります。冬の気温はマイナス20℃近くなることもあり、水は見る見るうちに氷結します。このような寒冷地では「凍結」に十分注意しなければいけません。
建物に積もった雪は、日中の日差しや建物内からの熱で溶けて水になります。水は屋根やサッシ周りの僅かな隙間に滲みこみ、夜になると再び氷結します。水は氷になる際、膨張し、建物を内側から傷め、雨漏り等の原因になります。
凍結への効果的な対策例としては、

・危険な箇所を作らない
複雑な屋根形状、トップライト、ルーフバルコニー、バルコニー等がそれにあたります。水が滞留するような箇所を出来るだけ設けないことが大切です。しかし、お客様のご要望も尊重させて頂きたいので、バルコニーを設ける際は、建物本体と一体化させず、独立した造りにする等の配慮が必要です。

・軒の出を深くする
屋根と外壁との境目は、凍結が発生しやすい箇所の一つです。軒の出がほとんど無い住宅は、豪雪地帯・寒冷地では、外壁破損のリスクを高めます。外壁の凍結を防ぐため、軒の出は深くするのが理想的です。当社の施工例では、軒の出が6尺(182センチ)に及ぶこともあります。

・丁寧な施工をする
当然のことながら、建物は人の手で造られます。同じ材料を用いても、職人の技量で完成度は異なります。価格だけではなく、信頼できる業者を選定して施工をお願いすることが大切です。

凍みあがりへの対策

凍結と同じ現象で、「凍みあがり」があります。凍みあがりとは、地面に含まれた水分が、冬の寒さによって氷結し膨張することです。それにより、建物を下から押し上げ、基礎や土台、柱にダメージを与えます。深刻な場合、建物全体が傾くこともあります。
凍みあがりへの対策としては、基礎を深くすることが有効です。寒冷地の冬に耐えられる基礎であることが大切です。

凍みあがりへの対策

上記以外にも、豪雪地帯・寒冷地ならではの配慮が多く必要です。

意匠においても同じことがいえます。
世界遺産である白川郷や、ヨーロッパの町並み、地中海の町並み……、私たちは素晴らしい景観を目にして感動します。
それは、見渡す限りの建物物が独自の様式で見事に統一されているからです。
飛騨にも誇るべき立派な建築様式があります。
深い軒の出、肘木に施される雲の彫刻……。
神社・仏閣においても飛騨独自の特徴が存在します。
私たち、建築に携わる者の使命は、お客様のご要望を形にすることであり、景観や文化を守り続けることでもあるのです。
いもと建築では、お客様のご要望を尊重し、地域の風土を見つめ直し、その土地でしか出来ない建築がしたいと考えています。